2016-02-08

Google Earth ネットワークリンク (FME Server)

Google Earth は、ディスクに保存されている KML ファイルだけでなく、「ネットワークリンク」によってウェブサーバーから直接 KML データを読み込んで表示することもできます。
FME Server の機能のひとつとして、ワークスペースの実行結果として作成される KML データをストリーミングする仕組み (KML Network Link Service) があり、これを使うと、FME Server が公開するワークスペースの URL をネットワークリンクのリンク先として指定するだけで、Google Earth から FME Server にアクセスして変換結果が利用できるようになります。

ここでは、「HTML文書の取得と変換」に掲載した
防災科学技術研究所ウェブサイトから「Hi-net自動処理震源リスト」 (HTML) を取得し、任意のフォーマットでの出力が可能なテーブルに変換する
ワークスペースを再利用し、得られたフィーチャーに基づいて震源の位置を示すポイントデータを作成したうえで、KML 形式のファイルに出力するワークスペース例を掲げます。これを FME Server にアップロードし、KML Network Link Service として実行可能な設定をすると、Google Earth のネットワークリンクとして利用できます。

FME 2016.0.1.0 build 16174


FME ワークスペース例











Hi-netParser (カスタムトランスフォーマー): 「HTML文書の取得と変換」のワークスペース例と同じ処理を行う。
VertexCreator: 緯度 (Lat), 経度 (Long) に基づいてポイントを作成する。
CoordinateSystemSetter: 座標系を定義する。
StringFormatter x 2: 数値の書式 (小数部桁数) を整える。
KMLStyler: アイコンの色 (震源の深さ) とサイズ (マグニチュードの大小) を設定する。
OGCKML ライター: KML 形式で出力する。


結果: Hi-net自動処理震源リストに基づく震源分布 (2016年2月7日~8日15:00 頃の間に発生した地震)
FME Server (KML Network Link Service) の実行結果 = Google Earth のネットワークリンク
アイコン (円) の色は震源の深さ (赤:浅い-->青:深い)、サイズはマグニチュードの大小を表す。






















あらためて日本は地震の多い国だということが分かりますね。



「HTML文書の取得と変換」のワークスペースと同じ部分はひとつのカスタムトランスフォーマー (左端の緑色のトランスフォーマー) にしました。複数のプロジェクトや業務でも利用できそうなデータフローをこのようにカスタムトランスフォーマーとしてまとめておくと、再利用が容易になります。

既存のワークスペースのデータフローをカスタムトランスフォーマーとして再利用したこと以外には、このワークスペース例ではとりわけ珍しいことはしていません。出力先データセットのフォーマットを KML にすれば、FME Server の KML Network Link Service によって、変換結果をネットワークリンクとして提供できるということがポイントです。

この例では、FME Server がデータを蓄積したり管理したりする必要はありません。クライアント (Google Earth) からのリクエストがあったときにワークスペースを実行することによって外部 (防災科学技術研究所) のウェブサーバーからデータを取得して KML データに変換し、それをストリーミングします。

FME Server は HTTP 以外にもさまざまなプロトコルをサポートしており、ネットワークを介してあちこちに分散しているデータソースにアクセスし、ワークスペースを実行することによって目的に応じたスキーマ、フォーマットに変換することができます。上記ワークスペース例は、そのような能力の一端を示したものでもあります。

複数のシステムによって蓄積、更新されているデータを統合して運用する必要が生じた場合、既存のシステムを大幅に改良する、あるいは、統合するためのシステムを新たに開発するというアプローチではなく、FME Server を活用することによって、より低コスト、短期間で実現できる場合もあると思います。

FME Server にも無償評価版がありますので、ご興味のある方は是非お試しください。
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FME Server で実行するためのワークスペースを作成したりサーバーにアップロードしたりするには、FME Desktop (Workbench) も必要です。
Try FME Desktop

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