FME Server の機能のひとつとして、ワークスペースの実行結果として作成される KML データをストリーミングする仕組み (KML Network Link Service) があり、これを使うと、FME Server が公開するワークスペースの URL をネットワークリンクのリンク先として指定するだけで、Google Earth から FME Server にアクセスして変換結果が利用できるようになります。
ここでは、「HTML文書の取得と変換」に掲載した
防災科学技術研究所ウェブサイトから「Hi-net自動処理震源リスト」 (HTML) を取得し、任意のフォーマットでの出力が可能なテーブルに変換する
ワークスペースを再利用し、得られたフィーチャーに基づいて震源の位置を示すポイントデータを作成したうえで、KML 形式のファイルに出力するワークスペース例を掲げます。これを FME Server にアップロードし、KML Network Link Service として実行可能な設定をすると、Google Earth のネットワークリンクとして利用できます。FME 2016.0.1.0 build 16174
FME ワークスペース例
Hi-netParser (カスタムトランスフォーマー): 「HTML文書の取得と変換」のワークスペース例と同じ処理を行う。
VertexCreator: 緯度 (Lat), 経度 (Long) に基づいてポイントを作成する。
CoordinateSystemSetter: 座標系を定義する。
StringFormatter x 2: 数値の書式 (小数部桁数) を整える。
KMLStyler: アイコンの色 (震源の深さ) とサイズ (マグニチュードの大小) を設定する。
OGCKML ライター: KML 形式で出力する。
結果: Hi-net自動処理震源リストに基づく震源分布 (2016年2月7日~8日15:00 頃の間に発生した地震)
FME Server (KML Network Link Service) の実行結果 = Google Earth のネットワークリンク
アイコン (円) の色は震源の深さ (赤:浅い-->青:深い)、サイズはマグニチュードの大小を表す。
あらためて日本は地震の多い国だということが分かりますね。
「HTML文書の取得と変換」のワークスペースと同じ部分はひとつのカスタムトランスフォーマー (左端の緑色のトランスフォーマー) にしました。複数のプロジェクトや業務でも利用できそうなデータフローをこのようにカスタムトランスフォーマーとしてまとめておくと、再利用が容易になります。
既存のワークスペースのデータフローをカスタムトランスフォーマーとして再利用したこと以外には、このワークスペース例ではとりわけ珍しいことはしていません。出力先データセットのフォーマットを KML にすれば、FME Server の KML Network Link Service によって、変換結果をネットワークリンクとして提供できるということがポイントです。
この例では、FME Server がデータを蓄積したり管理したりする必要はありません。クライアント (Google Earth) からのリクエストがあったときにワークスペースを実行することによって外部 (防災科学技術研究所) のウェブサーバーからデータを取得して KML データに変換し、それをストリーミングします。
FME Server は HTTP 以外にもさまざまなプロトコルをサポートしており、ネットワークを介してあちこちに分散しているデータソースにアクセスし、ワークスペースを実行することによって目的に応じたスキーマ、フォーマットに変換することができます。上記ワークスペース例は、そのような能力の一端を示したものでもあります。
複数のシステムによって蓄積、更新されているデータを統合して運用する必要が生じた場合、既存のシステムを大幅に改良する、あるいは、統合するためのシステムを新たに開発するというアプローチではなく、FME Server を活用することによって、より低コスト、短期間で実現できる場合もあると思います。
FME Server にも無償評価版がありますので、ご興味のある方は是非お試しください。
FME Server 60-Day Free Trial
FME Server で実行するためのワークスペースを作成したりサーバーにアップロードしたりするには、FME Desktop (Workbench) も必要です。
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