2016-02-03

GISからCADへの変換 - 基盤地図情報 (基本項目) 等高線

FME のユースケースの中でも、GIS と CAD の間のデータ変換は比較的多いものと思われます。
FME によるデータ変換の過程では、どのフォーマットについても共通のジオメトリモデルが適用されるので、空間データ自体の変換にあたってはフォーマットの違いを意識する必要はありません。しかし、図形の表現方法に関しては、データフローの中でユーザーがなんらかの処理を定義しなければならない場合があります。
ここでは、基盤地図情報 (基本項目) 等高線を 3D ラインに変換し、AutoCAD DWG 形式で出力する例を掲げます。

FME 2015.1.3.2 build 15575

ソースデータ
基盤地図情報ダウンロードサイトよりダウンロードした2次メッシュコード 513903, 513904, 513913, 513914 の4区画 (三宅島をカバーする範囲) の等高線データ
GML 形式 (ファイル名拡張子: .xml), ファイル名中に "Cntr" が含まれる。

FME ワークスペース例











GML リーダー: 基盤地図情報 (基本項目) 等高線データ (ライン) を読み込む。
3DForcer: 各ラインに標高 ("alti" 属性の値) を z 座標値として与えて 3D ラインに変換する。
Reprojector: JGD2011 平面直角座標第IX系に投影変換する。
DWGStyler: DWG 用の描画スタイル (この例ではラインの色) を設定する。
ACAD ライター: Autodesk AutoCAD DWG 形式のファイル (レイヤ名: Contour) に出力する。

結果: 三宅島の等高線 - AutoCAD DWG 形式, Autodesk DWG TrueView 2014 による 3D 表示
基盤地図情報 (基本項目) 等高線 2次メッシュ 513903, 513904, 513913, 513914 の4区画に基づき作成

















基盤地図情報 (基本項目) のデータは GML に準拠した XML ドキュメントです。FME には基盤地図情報の応用スキーマファイルが標準でバンドルされているので、GML リーダーで特別なパラメーター設定をせずにジオメトリと属性を読み込むことができます。ただし、基盤地図情報 (基本項目) に記述されているジオメトリは 2D なので、ワークスペース例では 3DForcer によって各ラインの z 座標値に標高 (alti 属性の値) を設定して 3D ラインに変換しました。

GIS では通常、空間データを格納するデータセットには、画面表示や印刷における図形の表現方法 (色、ハッチスタイルなど) に関する情報は含まれていないのに対して、CAD では、表現方法に関する情報も空間データと同じデータセットに格納されます (メジャーなデータフォーマットについての一般論であって、あらゆる GIS, CAD フォーマットがそうであるとは限りません)。

そのため、GIS データセットから CAD データセットへの変換処理においては、必要に応じて図形の表現方法が定義できなければならず、逆に CAD データセットから GIS データセットへの変換処理においては、図形の表現方法に関する情報のうち残したいものをフィーチャーの属性として抽出できる仕組みが必要です。

FME では、図形の表現方法に関してデータに記録されている情報をフォーマット属性 (Format Attributes) と呼ばれる属性のセットとして取り扱うことによって、それらを実現しています。

フォーマット属性の名前は、色などの多くのフォーマットに共通するものには接頭辞 "fme_" がつき、フォーマットによって異なる内容のものにはフォーマット固有の接頭辞 (例えば AutoCAD の場合は "autocad_") がつきます。FME はそれらのフォーマット属性を介して、図形の表現方法を定義/抽出することができます。

フォーマット属性は AttributeCreator 等で追加したり修正したりすることができますが、よく使われるフォーマットについては *** Styler という名前で、そのフォーマット用に表現方法を定義 (フォーマット属性を設定) するためのトランスフォーマーも用意されています。

ワークスペース例で使用した DWGStyler は AutoCAD DWG 形式用のトランスフォーマーで、ユーザーがパラメーターとして設定した色等の情報を fme_* 属性または autocad_* 属性に格納し、ACAD ライターは、それらの属性値に応じて適切な表現方法を適用したデータを出力先の DWG ファイルに出力します。

GIS と CAD の間のデータ変換では、図形の表現方法の定義/抽出がポイントになるかも知れません。行うべきことは個々の CAD フォーマットによって異なる部分がありますが、それらは各フォーマット (リーダー/ライター) のヘルプで調べることができます。

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